2012年10月23日

【ハードBL小説】ベルガモットに魅せられて〜三鳥井寿篇20121023

「あんっ」
喘ぎ声を上げ、響は真っ赤になりうつ向いた。
「もっと声を上げろ。ジョンに聞こえるぐらいな」
らいな」
「もう止めてくれ。頼むから」
「お前はもうジョンと恋人じゃないんだろ?
 だったら俺と付き合えよ。
 優しく愛してやるぜ?」
「お前とだって付き合える筈がないだろ!」
「……そうだな。だったらセフレになるっていうのはどうだ」
「こんなレイプ犯とセフレになるなんて、お断りだ!」
俺はむっとし、響の乳首を捻り上げた。
「ああっ!」
背中を仰け反らせ、天井を見上げる美しい青年。
そのピンク色に染まった背中が俺を誘う。
「お前、本当に嫌がってんのか?
 色っぽい声は上げる、体は興奮しきってる、背中からは汗が噴き出し、
 アナルは俺のペニスを咥えて離さない。
 ほら、今もそんなに締め付けて……もう我慢出来ねぇよ」
俺は響の耳元で囁いた。
「種付けしてやるよ。たっぷりとな」
響はさっと青ざめて、振り返った。
「や、やだっ! 止めてくれ! 中には出さないでくれ!
 頼むから!」
「ここまで来て止められるわけがないだろ?」
俺は逃げられないように、ぐっと響の腰を押さえた。
「いくぜ!」
「やだ……やだやだやだやめてっ!!」
泣き叫ぶ響の顔は何故これ程までに美しいのだろう。
そして嫌がる体は何故これ程まで愛らしく俺のペニスを締め付けるのか。
まるで吸い込むように。
精を吸い上げるように。
絡まり締め付け、腰を振り、誘惑するような瞳で男を見る。
涙で濡れたその瞳。
濡れた睫毛。頬。
誰もが欲しがる麗人のアナルへと俺は興奮したペニスを挿入していた。
「響……愛してるっ!」
「いやあああああああっ! ジョン! 助けて!」

迸る熱い想いが響の体内へ放たれたその瞬間。

「手を挙げろ!」
トイレの扉が開き、大勢のSPが雪崩れ込んできた。
肩に走る鋭い痛み。
性欲が放たれた快感と同時に来る、眠気。
俺は一瞬のうちに眠りへと落ちていった。


 ★


「三鳥井さん、三鳥井さん」
声がする。響によく似た声。そう、学生時代の響は今のように低い声ではなくて、もっと高い声だった。
目を開けるとベッドの中にいる。
濡れた下着。
俺を起こす伊藤若葉。
全て夢だったのか。
「三鳥井さん、下着……替えた方がいいですよ」
夢精した俺を気遣って、伊藤君が小声で言う。
「……ああ、ありがとう」
俺はじっと伊藤君を見た。名波夫人によく似た甘いフェイス。
兄のような冷たさはなく、のほほんとした雰囲気だ。
兄弟なのだが、その雰囲気を感じられない。
いや、髪質とか、所々体格が似ているか。
だが雰囲気が違うせいで他人のようだ。
……この青年も円さんとの関係の中で、兄のような妖艶な雰囲気を醸し出すようになるのだろうか。
いや、その片鱗はもう既に見え始めている。
愛は、そしてセックスは男を変える。
俺は名波を見た。
コカに抱かれ、優しい笑みを浮かべている。安心しきったその寝顔。
こんなに近いのに、遠く……とても遠く感じる。
愛するわけがない。
愛せるわけがない。
俺と名波はライバル会社の後継者なのだから。
俺達が結ばれるのは……そう、合併という名の結婚のみだ。
そして今、ヤツは赤い帝王の恋人。
恋人にすらなれない。
手が出せるわけがない。
あの響を抱く太い腕を払って奪うなど、出来るわけがない。
いくら好きでも、いくら抱きたくても、響は手に入らない。

あの日。

俺が先輩達の企みを告白して、いや響を助けたのが俺なら運命は変わっていただろうか。
しかし何度考えても、俺が保身を捨てて響を助けるわけがない。
俺とコカでは力の差がありすぎる。
そう、何度同じ事が起きても俺は響を助けられなかったんだ。
絶望的な過去と灰色の未来。
出会った時から俺達が結ばれないのは決定付けられていた。
「……何を見ているんですか?」
伊藤君が警戒した声で言う。
「名波を見ていた。
……夢の中では俺に腰を振って喘いでいたのにな」
リアルでは遠い。遠すぎる。
「夢で良かったです。三鳥井さんみたいなプレイボーイが相手じゃ、名波さんが可哀想ですよ」
「おいおい、取引先と寝る数じゃ、コカの方が多いぞ」
無邪気な青年がむっとした顔をする。なんとも可愛い。
「でも……コカさんの方が誠実そうです」
「俺には誠実さがないってか?」
「あるようには見えませんね。そもそも先程、あんな酷い事を名波さんにしたくせに。
僕、この屈辱、一生忘れませんからね」
可愛い顔が、すっと真顔になる。
「そんなに嫌わないでくれよ」
「嫌われるような事をしたのは三鳥井さんです」
「そんな起こった顔も可愛いな、君は。
そういう表情、お兄さんによく似てる。
伊藤君もお兄さんみたいに感じやすいの?」
次の瞬間、枕がばふっと俺の顔面に飛んできた。
「最低」
枕の向こうから聞こえてくる険悪な声。
俺はあははと笑った。
好かれないなら、嫌われてもいい。
でも好かれたい。
名波響に。

<終り>
20121231
posted by Fujima at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。